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by mikey2010
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(2006/03/22発行)【富士通事件】

C┃O┃N┃T┃E┃N┃T┃S┃
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■ 今週の事件【富士通事件】
▽ <争点>
競業会社転職者への早期退職優遇制度適用除外

1.事件の概要は?
2.前提事実および事件の経過は?
3.元社員Xの言い分は?
4.判決は?



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■ 今週の事件

【富士通(以下、F社)事件・東京地裁判決】(平成17年10月3日)

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 1.  事件の概要は?
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本件は、F社を退職して転職したXが同社に対し、主位的に、Xには早期退職優遇
制度が適用されるべきであると主張して、同制度に基づく特別加算金の支払いを求
め、予備的に、仮に同制度が適用されないとしても、F社がXの退職手続きに協力
せず、また退職するまでに同制度が適用されない合理的理由を正式に知らせなかっ
たことが信義に反する不当な行為であると主張して慰謝料を求めたもの。



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 2.  前提事実および事件の経過は?
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<F社およびXについて>

★ F社は通信機器・装置・システムの製造および販売等を業とする会社である。

★ Xは昭和55年4月、F社に入社し、主としてコンピュータのソフトウェアの開
発に従事し、平成14年4月、F社を退職した。退職時の年齢は45歳であった。


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<本件プログラムおよび本件ガイドラインについて>

▼ F社は平成13年7月、中高齢層の従業員に対して定年前の転職・独立など転進
の機会を付与することを目的とするネクストキャリアプログラム(以下「本件プロ
グラム」という)の実施を社内ウェブ上で告知した。本件プログラムの内容のうち、
早期退職の場合の特別加算による退職金の拡充についての要旨は次のとおりである。

(1)概要
選択定年(定年退職扱い)の年齢を50歳から45歳に引き下げ、あわせて45歳から
55歳の者について退職金に特別加算を行う。

(2)特別加算
退職時年齢45歳の場合、月収または月俸の10ヵ月分を特別加算する。

(3)適用者
退職時年齢45歳以上かつ勤続5年の正規従業員。ただし、F社と競合関係にある企
業への転職等、F社として本件プログラムを適用することが望ましくないと判断す
る場合は、適用外とする。


▼ F社は本件プログラムについてのガイドライン(以下「本件ガイドライン」とい
う)を定め、本件プログラムと同様にF社の社内ウェブ上で告知した。本件ガイド
ラインには、下記のいずれか一つに該当する場合は、原則として適用対象外とする
旨の定めがある。

(1)退職することで会社の業務に著しく支障をきたす場合

(2)転職先が本件プログラムの主旨に相応しくない場合
 (a)グループ会社
 (b)競業会社
    転職先がF社またはF社の子会社と競業関係に該当する場合は適用対象外
    とする。なお、競業会社に該当するかどうかは、規模・シェア等を勘案し、
    F社が個別に判断する。


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<Xが本件プログラムの適用を除外されるに至った経緯>

▼ Xは14年4月、F社に対し、退職願を提出するとともにコンピュータ製品の輸
入・販売を業とするS社に転職するとして、本件プログラムの適用を申請した。

▼ Xは同年5月、S社に入社して、ソフトウェア&テクノロジー営業本部に所属し
たが、同月、F社から送付された「ネクストキャリアプログラムの適用について」
と題する書面を受領した。

★ 上記の書面には、適用の可否として本件プログラムの「適用対象外とする」と、
その理由として「転職先が本件ガイドラインに定める競業会社に該当し、本件プロ
グラムの主旨に相応しくないため」と記載されていた。

▼ Xは同年5月、F社から退職金支給規程に基づき、退職金407万7000円を受領
した。本件プログラムがXに適用された場合、Xの退職金は総額1811万円となる。



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 3.  元社員Xの言い分は?
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1)本件ガイドラインの「競業会社」への転職に関する条項は無効だ!

▼ F社が本件プログラムを制定したのは、合理化のために人員削減を行うにあたっ
て、優遇した対象条件と退職金の割増を提示して退職者を募り、名目上任意退職の
形をとるようにしたものであって、従業員の自発的な辞職とは区別すべきである。

▼ F社グループは大規模で業種は広範囲にわたっており、F社が本件プログラムの
適用除外事由として「競業会社」への転職という条項を設け、しかもその適用を客
観的基準も設けないままに全くの裁量で判断することは、従業員の職業選択の自由
を奪うに等しく、明らかに公序良俗に反する。


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2)Xを本件プログラムの適用対象外としたのは不当だ!

▼ 本件プログラムは、その適用申請が早期退職という重要な意思決定を伴うもので
ある以上、恣意的な運用が許容されるべきではないから、適用申請者に適用を認め
ないことが信義に反する特段の事情がある場合には、F社は信義則上、承認を拒否
することができないと解するのが相当である。

▼ F社は日本でも有数の大会社であり、業種は多種広分野にわたっている。本件ガ
イドラインをF社の自由な判断に委ねれば、あらゆる転職先について「競業会社」
であるとの理由で適用対象外とすることが可能となり得るから、「競業会社」の該
当性を特に慎重に決すべきであるにもかかわらず、本件ガイドラインには具体的基
準は定められていない。

▼ S社は米国の親会社からコンピュータ製品を輸入して日本国内の販売代理店に
卸販売を行う輸入商社であり、原則として米国S社の製品をエンドユーザーへ直販
していない。F社はS社から米国S社製品を購入してエンドユーザーへ直販してい
る販売代理店の一つであるから、S社とは「競業」関係にない。

▼ Xが退職時に従事していた業務は「競業」から保護されるに値するF社の営業秘
密に接するようなものではない。したがって、F社がXを本件プログラムの適用対
象外とした判断は不当なものであって、公序良俗に反する。


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3)F社が退職手続に協力せず、Xは精神的損害を被った!

▼ Xが退職願を提出した際、F社から退職手続書類を渡されず、本件プログラムの
適用対象外であることについて合理的説明がなされないまま、最終出社日の前日に
なって、相当数の退職手続書類を交付されたため、非常に焦って記載をしなければ
ならなかった。

▼ F社はXの退職手続に協力せず、不当にXを不安定な状況に置いた上、Xに本件
プログラムを適用しないのであれば、遅くとも退職の承認前に通知して、その合理
的理由を開示すべきであるのに、理由を述べることを拒否し続けた。そのため、X
は退職願を撤回することを再考する機会も奪われた。

▼ Xは上記のようなF社の一連の信義に反する不当な行為により、多大な精神的損
害を被ったものであって、その慰謝料は少なく見積もっても50万円を下らない。



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 4.  判決は?
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▼ F社は「会社として本件プログラムを適用することが望ましくないと判断する場
合は、適用外」とするとし、「ネクストキャリアプログラムのガイドライン(本件
ガイドライン)」において、「転職先が本プログラムの主旨に相応しくない場合」
として、「競業会社」「なお、競業会社に該当するかどうかは、規模、シェア等を
勘案し、会社が個別に判断する」と告知しているところ、これは適用除外の範囲に
ついて、考慮事項を例示した上、合理的に個別判断する趣旨から定められたものと
解され、何ら客観的基準を設けず、全くの裁量で判断することになっていたとは言
えないから、直ちに公序良俗に反するものであるとは認められない。

▼ 本件プログラムは人事政策上の必要性から設けられたものであって、その適用か
ら除外されるとしても、競業会社への転職が禁止されたり、退職金が不支給とされ
たりするわけではないところ、Xを本件プログラムの適用除外としたF社の判断が
公序良俗に反し、信義に反する特段の事情があるとは認められないから、F社がX
に対して本件プログラムの適用を承諾しなかったことは不当であるとは言えない。

▼ F社がXに対し、退職手続および本件プログラムの適用の可否の決定に際して、
信義に反する不当な行為に及んだとも認めることはできない。

1)Xの請求をいずれも棄却する。
2)訴訟費用はXの負担とする。

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by mikey2010 | 2006-03-24 03:40 | *_*法律・訴訟・トラブル