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by mikey2010
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(2006/01/04発行)【JR西日本尼崎電車区事件】

C┃O┃N┃T┃E┃N┃T┃S┃
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■ 今週の事件【JR西日本尼崎電車区事件】
▽ <争点>
「日勤教育」と従業員の自殺との因果関係/会社の安全配慮義務違反

1.事件の概要は?
2.前提事実および事件の経過は?
3.社員Xの遺族Yの言い分は?
4.判決は?



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■ 今週の事件

【JR西日本(以下、J社)尼崎電車区事件・大阪地裁判決】
(平成17年2月21日)

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 1.  事件の概要は?
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本件は、J社の従業員であったXが自殺したことに関し、Xの父であるYが「Xは
J社に日勤教育を受講させられたため、うつ病状態に陥って自殺したものであり、
Xの上司であったAら3名にはXが自殺に至ったことについて過失があり、J社に
雇用契約上の安全配慮義務にも違反した」として、J社およびAらに対し、1億
1000万円の損害賠償等を請求したもの。



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 2.  前提事実および事件の経過は?
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<J社、XおよびYについて>

★ J社は西日本の地域において旅客鉄道輸送業を営むことを主な目的として設立
された会社である。

★ Xは昭和51年4月に国鉄に入社し、62年4月のJ社発足とともに同社に採用さ
れて近畿圏運行本部明石電車区に配属され、平成6年9月から大阪支社大阪電車区
で勤務した後、9年3月以降、尼崎電車区において運転士として勤務していた。

★ YはXの父であり、Xの死亡により、同人の権利義務を相続した。

★ A、BおよびCはいずれもJ社の従業員であり、13年9月当時、AはJ社大阪
支社尼崎電車区の区長、Bはその首席助役、Cはその指導総括助役であった。


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<J社における「日勤教育」の内容等について>

★ J社では、運行列車に遅延や運休が発生した場合、「事故」扱いされるが、これ
に至らない程度のものについては、「ヒヤリハット」とし、「事故」扱いとはしな
いが、再教育・指導の対象とされた。

★ 「事故」扱いもしくは「ヒヤリハット」を犯した場合、電車に乗務中の運転士を
当該乗務から外して事情聴取を行い、運転区または電車区等の区長が、当該運転士
に対する再教育が必要であると判断した場合には、当該運転士に対し、日勤勤務を
指定した上、「日勤教育」を実施していた。

★ 「日勤教育」対象者は、区長・助役等が勤務する内勤室の一画で、担当の指導助
役などから与えられた課題について、レポート作成等が命じられた。

★ また、「日勤教育」の一環として、日勤教育対象者が駅のプラットホームに立ち、
自らの犯したミスを他の乗務員に知らせ、同様のミスをしないように注意喚起する
「水平展開」という作業を課されることもあった。

★ 「日勤教育」の期間はあらかじめ特定されておらず、終了の可否の判断は、日勤
教育を命じた区長に委ねられており、日勤教育が1ヵ月以上に及ぶこともあった。

★ 「日勤教育」は懲戒処分ではないが、その間の乗車がないため、乗務手当(平均
月10万円)が支給されず、実質的に減収となっていた。

★ 労働組合であるJR西労近畿地方本部は「日勤教育」指定が、ミスを口実とした
不当ないじめであり、組合差別もあるとして、日勤教育の中止、その内容・方法な
どの改善を申し入れていた。


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<Xが自殺に至るまでの経緯>

▼ Xは13年8月31日、京都駅において、西明石行き電車の運転台で信号機の表示
が変わるのを待っていたところ、車掌から運転台の表示灯が点灯しているとの連絡
を受け、その旨を指令所に連絡するなどしたため、予定を約1分遅れて発車させた。

▼ Xは定刻通り西明石駅に到着し、高槻行き電車を運転して西明石駅を出発したが、
京都駅における遅発の事情聴取を行うとして、Aから乗務交代を命じられ、尼崎駅
で降車し、Bらによる事情聴取を受けた。

▼ Aは上記事情聴取の結果の報告を受けて、Xに対し、同年9月3日から「日勤教
育」を受けることを命じた。Xはレポート作成や知悉(ちしつ)度テストを受けて
いたが、「日勤教育」3日目終了翌日の同月6日に頭痛を理由に年休を取得し、自
宅で首をつって自殺した。

★ なお、Xは同年8月30日の定期健康診断の際に行われた「心の健康度チェック」
において特段の異常は認められず、また、対人関係や金銭問題等の個人的な悩みを
同僚・友人に訴えたことはなかった。



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 3.  社員Xの遺族Yの言い分は?
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1)「日勤教育」とXの自殺との間に相当因果関係があること!

▼ 尼崎電車区における「日勤教育」は教育とは名ばかりで、まさにいじめに等しく、
運転士に対して精神的・肉体的・経済的打撃を与え、J社への絶対服従を強いるた
めに用いられ、安全対策という面からみても正当化できるものはない。

▼ 日勤教育対象者は、区長・助役等が執務する内勤室の中央の席に座らされ、周囲
からさらし者にされるがごとき状況に置かれる。これにより、対象者は強い疎外感・
羞恥感および精神的圧迫を受ける。

▼ 日勤教育では、運転士は本来の業務とは全く異質なレポート作成を命じられ、そ
のレポートの内容は当該対象者が犯したミスとは全く関係のない事項、さらにはJ
社への帰属意識を試すような事項である。

▼ Xは日勤教育を受けている間、職場の同僚から孤立させられ、衆人環視のもとに
おかれ、Aら管理者から罵詈雑言を浴びせられた上、困難な課題への対応を強いら
れ、とうてい耐えられない精神的苦痛を受けた。

▼ Xは日勤教育によるストレスから反応性うつ病に罹患し、日勤教育が長期間続い
ていくことに絶望感を感じ、うつ状態がさらに深まった結果、自殺するに至ったも
のであり、「日勤教育」とXの自殺との間に相当因果関係があることは明白である。


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2)Aらは「日勤教育」がXの心身を損なうことを予見できた!

▼ A、BおよびCは、運転士に適正な指揮命令を行い、安全な環境の下、業務に従
事させるように注意すべき義務があった。また、Aらは日勤教育の実施者として、
過酷ないじめにも等しい日勤教育の実態を知悉していたのであるから、日勤教育に
よる心理的負荷が労働者の心身を損なうことを予見できたと言うべきである。

▼ 管理者であるAらは、Xの体調や精神状態に配慮し、日勤教育から外したり休養
させたりすべきであったにもかかわらず、日勤教育と称してXをいじめ続けた。し
たがって、Aらは民法に基づき、XおよびYが被った損害を賠償する責任がある。


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3)J社は安全配慮義務に違反している!

▼ 使用者は、雇用する労働者に従事させる業務を定めて、これを管理するに際し、
業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損な
うことがないように注意する義務を負っている。

▼ J社はAらをして、Xに対する日勤教育を行わせながら、Xの心身の健康に危険
が発生するのを防止せずに放置していたのであるから、安全配慮義務に違反してお
り、Xに対し、雇用契約上の債務不履行責任を負うべきことは明白である。



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 4.  判決は?
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▼ Xが自殺を決意するに至った心理的メカニズムやそのときの精神状態について
不明な点はあるものの、Xは日勤教育におけるレポート作成を苦痛に感じ、また知
悉度テストの成績の悪かったことについて無力感を味わっていたところ、日勤教育
が長期化することに悲観・絶望し、衝動的に自殺を敢行したものと推認できる。

▼ 「日勤教育」とXの自殺との間に法律上の相当因果関係があるというためには、
日勤教育を命じ、これを受講させたことによって、Xが精神状態を悪化させ、その
結果自殺したという結果について予見可能であったことを要すると言うべきである。

▼ Xが日勤教育を受けていた当時、Aらが管理者として十分な注意を払ったとして
も、Xが3日間の日勤教育によって精神状態を悪化させ、自殺するに至ったことに
ついて予見可能であったとは認められない。したがって、「日勤教育」とXの自殺
との間の相当因果関係を認めることはできない。

1)Yの請求をいずれも棄却する。
2)訴訟費用は、Yの負担とする。


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by mikey2010 | 2006-03-16 09:22 | *_*法律・訴訟・トラブル