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by mikey2010
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(2006/01/11発行)【青森セクハラ(バス運送業)事件】

C┃O┃N┃T┃E┃N┃T┃S┃
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■ 今週の事件【青森セクハラ(バス運送業)事件】
▽ <争点>
損害賠償(セクハラ行為と会社の使用者責任)

1.事件の概要は?
2.前提事実および事件の経過は?
3.元社員Xの言い分は?
4.判決は?



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■ 今週の事件

【青森セクハラ(バス運送業)事件・青森地裁判決】(平成16年12月24日)

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 1.  事件の概要は?
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本件は、S社の女性従業員であったXが、上司の立場にあったYからセクシュアル
ハラスメントに該当する行為(以下「セクハラ行為」という)を執拗かつ継続的に
受けていたにもかかわらず、S社は何ら防止策や抑止策を講じず、Yの行為を野放
しにしたため、Xは退職することを余儀なくされたものであり、Yらによって人格
権(性的自己決定権)や快適な職場環境の中で就労する権利を侵害されたとして、
YおよびS社に対して、損害賠償を求めたもの。



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 2.  前提事実および事件の経過は?
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<S社、XおよびYについて>

★ S社は乗合旅客自動車運送事業、団体旅客自動車運送事業ならびに観光事業、
地方鉄道等を目的とする会社である。

★ X(昭和27年生)は昭和48年11月、S社に会計係として入社し、平成10年4月、
経営企画部経営企画主任となり、14年3月には観光部観光課を命じられたが、同年
12月、S社を退職した。なお、Xには夫と2人の娘がおり、夫および次女夫婦と暮
らしている。

★ Y(昭和25年生)は、養父がS社の取締役(先々代の社長にして現在の監査役)
であったことから、昭和50年に同社へ入社し、総務部長・経営企画部長などを経て、
14年4月以降は取締役事業本部長となり、S社のナンバースリーの立場にある者で
ある。なお、Yには二男一女がおり、妻および長女の3人暮らしである。


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<YのXに対するセクハラ行為等について>

▼ 平成6年2月頃から、YはXに対し、職場で睨みつけたり、1年にわたってラブ
レターに類する手紙を送ったりするなどした。

▼ 8年3月に仙台へ出張した際、YはXの部屋に入り込み、Xを押し倒し、猥せつ
な行為を行った。この出張以降、YはXに対し、個人的な予定を書き込んだカレン
ダーのコピーや出張土産のスカーフを渡すなどした。また、YはXが帰宅した後に、
Xの家に電話をかけ、夜間、飲食店に出てくるよう呼び出すこともあった。

▼ Xは上記のようなYからの理不尽な仕打ちに悩まされていたが、職場での立場が
悪化することを恐れ、強い態度で応対することができず、8年7月、退職届をS社
に提出したものの、結局退社には至らなかった。

▼ Xは9年2月、労働組合委員長のAにYからセクハラ行為を受けて悩んでいる旨
を相談した。AはYに対し、注意をなし、YがXを睨んだり、夜間に呼び出したり
することはなくなった。

▼ Xが主任に任ぜられた10年4月頃から、Yは社内にあまり人のいないときを見
計らってXに近づき、Xの肩に触ったり、脇の下に手を入れたりするなどの行為を
繰り返すようになった。


★ S社では男女雇用機会均等法の改正を受け、12年7月、就業規則にセクハラ行
為に関する禁止条項を追加し、13年1月にはセクハラ被害に対する相談窓口として
総務部を充てる措置をとったが、15年2月以前には手続マニュアル等も準備されて
いなかった。


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<Xが退職に至るまでの経緯>

▼ Xは14年2月、平社員の身分として観光課へ配置転換をする旨、内示を受けた。
Xは労働組合委員長のBに対し、異動への不服と、Yから受けてきた仕打ちを相談
した。同時に直属部長のCに対しても、Yから受けてきた被害の骨子を伝え、異動
はYからの嫌がらせであると訴えた。

▼ 同年3月、XはB委員長および社長と話し合ったが、「配置転換は不当ではない。
セクハラについてはYからも聞いてみる」という趣旨の言葉を得た程度で終わった。
その後、B委員長から「XにもYにも家庭があるので我慢してくれ」と言われたX
は生活を考え、異動の内示を受け入れた。

▼ 専務のDはYから事情聴取を行い、Yの述べたところに従い、社長に対し、Xに
はある種の異常性が感じられる旨、これ以上対峙させずに終息させる旨の報告を行
った。S社はYに対して、何ら措置をとらず、Yは同年4月、取締役に昇進し、そ
の後再びXを睨みつけるようになった。

▼ Xは無力感、会社に対する疎外感が一段と強まるとともに、頭痛や体の痛み等の
不調を覚えるようになり、14年12月、S社を退職するに至った。



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 3.  元社員Xの言い分は?
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1)XはYのセクハラ行為により退職を余儀なくされた!

▼ XはそれまでS社に迷惑をかけることもしていないし、退職した14年12月当時
住宅ローンの残額が約2000万円あり、Xや家族はXが定年(60歳)まで勤務する
ことを望んでいた。

▼ ところが、XはYの長年にわたる一連のセクハラ行為や、それを知りながらYの
行為を全く改めさせようとしないS社の処置にますます落ち込んで体調が悪い状態
が続いたため、ストレスが溜まり、S社を退職することを決意せざるを得なかった。


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2)Yのセクハラ行為はXの人格権を侵害だ!

▼ Yは自分がS社の経営陣と親族関係にあり、Xの上司であるという地位を利用し、
Xに対して長期間にわたり執拗で残酷なセクハラ行為をしており、YがXの人格権
(性的自己決定権)を侵害していることは明らかである。

▼ XはYのセクハラ行為によって、被用者として働きやすい職場環境のなかで働く
権利を侵害されて心身を害され、S社を退職するまでに追い込まれたものであるか
ら、同行為の違法性は極めて重大である。


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3)S社にはYのセクハラ行為について使用者責任がある!

▼ Yのセクハラ行為のうち、仙台での行為は出張で出かけた際のものであり、また
帰宅後の飲酒の要請は職場における嫌がらせ等を防ぐためにやむなく応じたもので
あるが、これらのYの行為は職場に密接に関連するから、S社が事業の執行につい
て加えた損害と言うべきである。

▼ 使用者は被用者にとって働きやすい職場環境を保つよう配慮すべき注意義務(以
下「職場環境調整義務」という)を負っており、使用者が職場環境調整義務に違反
したときは、被用者に対する債務不履行責任または不法行為責任が認められるべき
である。

▼ S社は職場環境調整義務の内容として、セクハラ行為の事前防止義務を負ってい
たが、セクハラ行為は許さないとの使用者の方針の周知・啓発や効果的な研修の実
施などの対策をXが退職するまでの間、全くと言っていいほど講じていなかった。

▼ S社はYの言い分を丸呑みして何ら非を認めず、長年にわたるセクハラ行為によ
り心身ともに疲れたXを肉体的にも精神的にも打ちのめしたに等しい。



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 4.  判決は?
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▼ Xが退職にまで至ったのは、Yから受けたセクハラ行為のみならず、Xの受けた
被害に対するS社の無理解な対応に起因するから、相当因果関係がある。

▼ Yによるセクハラ行為はいずれもXに対する性的行動として行われたものであ
るから、Xの性的自己決定権に対する不当な侵害行為として不法行為を構成する。

▼ 仕事のために社命を受けて出張した際に行われたセクハラ行為は会社の業務の
執行に関連して行われたものと認められる。また、社外で行われたセクハラ行為は
社内で行われた行為と同様、業務と密接な関連を有する。したがって、S社は使用
者責任を負う。

1)YらはXに対し、連帯して、金586万6762円(慰謝料200万円、逸失利益316万
  6762円、弁護士費用70万円)およびこれに対する遅延損害金を支払え。
2)XのYらに対するその余の請求を棄却する。
3)訴訟費用は、これを10分し、その4をYらの負担とし、その余をXの負担とする。


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by mikey2010 | 2006-03-16 09:17 | *_*法律・訴訟・トラブル